レスポールモデルのグリップリシェイプ
古川さんからレスポールのグリップのリシェイプのご依頼を頂きました。ご紹介させて頂くお許しをいただきましたので、作業内容をご紹介すると共に工程の状況をご覧いただく事にしました。
ご依頼の内容はグリップのリシェイプでさらに指板のセルを0.5mmづつ削る事。そして、もうひとつペグをグローバーに交換すると言うものです。工程に付きましては作業を開始してから順次ご紹介しますが、まずは作業内容について説明します。
この時期のモデルはメイプル3Pネックでかなり厚みのあるものです。特にハイフレットは12フレット付近で26mmもあり、ストラトだとネックポケット部分の厚みとほぼ同じになります。
グリップの形状はいわゆるかまぼこ型でさらにゴツい印象です。厚みに関してはロッドの仕込みやグリップ部をけずってからのネックの状況でどの程度落とせるかは判りませんが、まずはグリップのサイドの張り出した部分を丸く落とします。
さらに、ヒール自体はとても小さいのですがヒール周りがかなり残っているので、この部分を削ります。ネックの厚みを落とさなくてもグリップ形状とヒール周りをスリムにするだけでも随分と扱いやすくなると思います。
LPはナット幅43mm以上のものがほとんどですが、これはほぼ42mmでした。さらには指板のセルも厚めになっているので、見た目にそれほど不自然にならず狭く出来ると思います。問題はボディに入っている部分のセルの処理でしょうか。
グリップ部分とヒールの様子です。
それにしても、これほど状態の良いものはなかなか無いと思います。全体的に綺麗ですが、クローム部分がほぼ錆も曇りも無いと言うのは保存状態と手入れが素晴らしいとしか言えません。
下にナット部分の比較の為並べている私の80は、フレットまで錆びているのが判ると思います。中古で購入してからほとんどケースに入れっぱなしなのでたまには弾いて手入れをしなくてはと思いました。ちなみに古川さんのLPは79年製で私の80は81年製ですが並べると逆のような感じです。
セルの幅は80の方がかなり狭くなっていますが、58年から60年のものはほとんどこんな感じですので削っても不自然にはならないと思います。80はこの状態でナット幅は43mm強あります。
ナット幅も42mm強です。 私が所有している80のナット部分です。
通常T・O・Mは10.4mmピッチと思っていたのですが、このLPは10mmピッチになっています。他にも10mmピッチのものがあるようなので製造時期によって存在している様です。
左の画像をみると金属パーツの状態の良さと、弦がリアのハムバッカーのポールピース上を通過しているのが判ります。
セルはいわゆるオーバーバインディング(この呼び方は諸説あるようですが)なので、指板エンドでは約57mmありますが、このLPはセルの幅がほぼ2ミリあるので通常のストラト並にはできそうです。
セルの部分にはフレットが乗っていませんので見た目に不自然にならない様に注意すれば問題ありませんが、指板サイドが角張らない様にしなくてはなりません。
グリップのリシェイプとセルを削った後は当然リフィニッシュをするのですが、ボリュートがあるのでジョイント部分からボリュートを境にグリップ部分を剥がしてヘッド周りはそのまま残します。
カッタウエィ部分が段差にならない様に気を付ければわりと自然な感じに仕上げることが出来ると思います。
ペグはグローバーに変更するのですが、かなり大きいのでネジ部分は隠れる可能性がありますし取りつけるとそれほど気にならないと思いますので軽くタッチアップ程度で問題無いのではと考えています。
5・27 更新
先程発送しました。完成したグリップは1フレットで19.5mm、12フレットで21.5mmでしたが、指板サイドから丸く仕上げていますのでレスポールクラッシック並に薄く感じられると思います。
リシェイプが終わったネックです。5/26
ピックガードを取り付けて完成です。5/24
ペグを交換したヘッドです。
ペグを取りつけました。5/21
グリップ部分に艶消しを吹きました。5/18
ダボ穴に塗装しました。
着色してトップコートを吹きました。4/28
オリジナルのネジ穴をメイプルのダボで塞ぎました。4/24
ペグ穴を広げて仮付けしてみました。4/20 上のネジ穴は隠れませんでした。4/20
グリップ厚を落として指板のセルを薄くしました。4/17
塗装を剥がして、グリップ形状を丸くしました。4/16
ヒール部分もサイドを落としました。4/16