製品ファイルVol.11

 

〜  DGストラトキャスタータイプ ’13 〜

 

 

 工房を開設して最初に手がけたのがストラトタイプでした。ミディアムスケールサイズのストラトキャスターは既に本家FenderブランドでSTMがありましたので当初は製作を考えていなかったのですが、当時活動を活発化していた敬愛するジェフベックがストラトキャスターでの演奏スタイルを完全に確立してほぼストラトのみでのプレイになっていましたので、そのイメージでミディアムスケールのストラトを製作したいと思うようになりました。

 STMは単純にサイズをスケールの比率で縮小したプラモデル的なものではなくて機能的にストラトキャスターをミディアムスケールサイズに縮小したある意味、質実剛健で潔い手法で製品化したものと思います。縮小方法は概ね同様と思いますが、DGストラトキャスターはそれに手を加えてアレンジしてオリジナルのストラトのイメージに近い感じを意図してデザインして製作しました。

 ミディアムスケールに拘りストラトキャスターを製作した事が契機になったのか、幸いにもPEに師範代としてご出演されてアルバムも出された古川博之氏に製作をご依頼いただく事ができました。STMのホーンのイメージで22フレットまでカッタウェイを深くした“古川モデル”をラインアップに加え、そのオーダーの際に試作したSLや、ショートスケール、24フレット仕様、さらにはショートスケールボディとミディアムスケールネックの組み合わせ等の多数のバリェーションが生まれました。

 それから約10年が経過して、基本的な部分は変更ありませんが、仕様等の変更もあります。今回は改めてDGストラトキャスタータイプの仕様と基本仕様でカスタマイズ可能な箇所等をご案内させていただこうと思います。当初からは値上げしましたが、カスタマイズ可能な部分が多いのでセミオーダーで製作しているモデルとしましては高価すぎる程ではないと考えています。

 十数年に渡りご依頼をいただき多数を製作してまいりましたのでバリェーションは多数ありますが、元になったストラトタイプとショートスケールバージョン、そしてミディアムスケール24フレット仕様のサンプルをご用意しましたのでそれらをご覧いたいてご説明させていただきます。

 

 ※ 以前にもこちらでストラトタイプの記事をアップしていますが、それから数回の価格変更や仕様変更がありましたので、ページを改定して’13年12月時点での仕様と価格等をご案内する事にしました。

 

§ バリェーション §

 

DGST DGFS DGSBS DGSB24

 

 最初のFender JapanブランドのミディアムスケールのストラトキャスターはST-314ですが、通常のストラトキャスターのボディにミディアムスケールネックを組み合わせたものでした。ジョイント部分をストラトと同一にしてブリッジをネック側に移動させていますし、10.5mmピッチのトレモロでナット幅40mmでネックエンドの幅が55ミリ弱という幅の狭いネックを組み合わせていますので、ミディアムスケールのコンバージョンネックを組み合わせているだけのモデルではありませんでした。

 ロングスケールのギターににミディアムスケールのネックを組み合わせて、ボディサイズをスケールが短くなった比率に合わせて縮小したモデルは存在したかもしれませんが、ストラトキャスターではSTMが最初になるかと思います。DGストラトタイプも同様と思しき方法で縮小しました。ジェフベックのストラトをイメージしました事もあり、入手したアメリカンスタンダードの型を取りそれを元にブリッジを中心として縮小しました。

 ホーン部分はブリッジから距離があるため若干歪みが大きくなりスマートになりますが、サイズを変えずにホーン部分をノーマルのストラトのイメージに近くなるようにアレンジしました。くびれから下側は縮小した型を微調整しただけですので、概ねSTMと同じ形状になりました。

 ちなみにFenderのストラトは工場の移転等で型もいくつかあると思われ、また手作業による磨きで形状も微妙に異なります。DGストラトタイプも十数年の間に何度か型を作り直していますので初期とは微妙に異なりますが、基本的には所有しているアメリカンスタンダードストラトキャスターの形状が元になっています。

 ショートスケール仕様も同様にロングスケールのストラトをスケールの比率で縮小させました。方法はミディアムスケールの際と同じです。6弦側のホーンの形状はミディアム以上に歪みが大きいので初期から何度か形状を更新させています。またこのショートスケールサイズのボディを元にカッタウェイが深くなる24フレット仕様の型を製作しました。

 また、お客様のご希望からショートスケールサイズのボディにミディアムスケールを組み合わせてSB(ショートスケールボディ)も誕生してこちらはその後全体の形状をアレンジして現行のSBに至ります。そんな感じでミディアムスケールとショートスケールを基本仕様としてストラトタイプのボディは煩雑なほどにバリェーションが増えました。

 

DGストラトキャスタータイプバリェーション

ボディ モデル 仕様
ミディアムスケールサイズ ST:ノーマルストラトキャスタータイプ ミディアムまたはロング22(21)F
FS:STM風ホーン カッタウェイ22F ミディアム22F
SL:FS スクェアエッジスタイル ミディアム22F
ショートスケールサイズ SST:ノーマルストラトキャスタータイプ  ショートスケール22(21F)
SFS:FSショートスケールバージョン ショートスケール22F
SBM:ミディアムスケール22F用 ミディアムスケール22F
SBM24:ミディアムスケール24F用 ミディアムスケール24F
FSM24:カッタウェイが24フレット ミディアムスケール24F
その他ストラトキャスター系 PT:ソロイスト風?24フレット専用 ミディアムスケール24F
DK:ディンキー風スモールボディ ミディアムスケール22F
S24F:ショートスケール24フレット専用 ショートスケール24F('13 12月時点未発表)

※ 製作途中のカーブドトップ仕様をこちらでご覧いただけます。

 

 その他、STMに近いホーン形状でカッタウェイを22フレットまで深くした古川モデルと同様にショートスケールのストラトでカッタウェイを22フレットまで深くしたモデルや同様に24フレット仕様でもカッタウェイを深くした型も製作しましたのでDGストラトタイプの型は煩雑なほどに増えました。他にもディンキータイプと現在新たにショートスケール24フレット仕様を製作中です。

 ストラトタイプを基本としてソロイストタイプやディンキー等のボディ形状をまとめると以下の様になります。お客様のご希望で一本限りのアレンジをしたもの等は含みません。ロングスケール24フレット仕様や最近試作を販売したDGSTにPRSスケールネックを組み合わせたものもあります。カスタムオーダーが基本ですので、これ等のバリェーションを元にスケールやグリップ形状・PU配列やコントロールのカスタマイズ等を、出来る限り基本仕様で可能にしています。