製品ファイルVol.13
〜 カスタムオーダー 〜
セットネックやスルーネックのボディとネックが一体の構造のエレキギターもありますが、ボディとネックを分解できるボルトオンを基本にご紹介してきました。当工房はセットネックやスルーネック構造のオーダーも可能な限りお受けいたしますが、作業スペース等の問題もあり基本的にはボルトオンネックのギターを中心に制作をうけたまわっています。当工房のコンセプトの一つとして手軽に出来るカスタムオーダーギターと言う事がありますが、その観点からも多少手間が少なくなるボルトオンは価格的にも費用を抑えるのには有効です。とは申しましても工場で生産される量産タイプと異なり一本ずつ手作業を中心に制作しますのでそれなりには費用は掛かってしまうのですが…。
ボルトオンの場合はネックやボディにトラブルが生じた際はもちろん、異なる組み合わせにする事が出来るので気に入ったネックに違うボディを組み合わせたり、その逆にボディに新たなネックを組み合わせたりしたりする事が出来ます。 リペアや改造では難しい変更もボルトオンの場合はネックまたはボディを交換することで異なるタイプのギターに変更する事が出来ます。
そこで当工房では、お持ちのギターをお預かりしてそれに合わせてボディ、またはネックを制作して組み込み・調整をする単体制作をうけたまわっております。料金はボディが65,000円〜ネックは58,000円〜になります。何れも当工房のストラトタイプの仕様を基本として材の変更や形状のご希望等はお見積りさせていただき追加工賃をうけたまわります。ボディとネックのカスタマイズにつきましては概ね前のページでご案内させていただいた感じになります。特にネックにつきましてはグリップ形状やナット幅、フレットのサイズや指板のR等は基本仕様で選択いただける様にしています。
§ コンバージョンネック §
スクワイアージャグマスターにワーモス製のミディアムスケールのコンバージョンネックを取り付けています。 判りにくいですがコンバージョンネックはエンドを揃えるとナットがブリッジ寄りになります。 ネック単体制作では材の変更やグリップ形状やナット幅以外にもボディには変更を加えずに、スケールを変更することが出来るコンバージョンネックもうけたまわっております。こちらはジョイント回りやヒサシに特殊な加工等がなければ基本料金で可能です。フェンダースケールのストラト等のネックを差し替えてミディアムスケールに変更するコンバージョンネックはWarmothやMusikraft等でオーダーしたり購入する事が出来ます。サイズ等の指定も可能ですが、実際に組み込むには調整や加工が必要な場合もあります。
当工房ではそのようなネックの差し替えの組み込みや調整のご依頼もうけたまわりますので、ご希望がありましたらお気軽にお問い合わせください。工房で同様のコンバージョンネックの制作をうけたまわる場合はスケールはもちろんポケットの幅や弦高等も合わせて制作いたします。唯一お受けできないのがヘッド形状のコピーです。WarmothやMusikraftのフェンダーヘッドはライセンス生産で意匠の問題はありません。当工房如きが密かに制作したところで何の問題にもならないとは思いますが、尊重すべきと考えて工房開設以来独自のヘッド形状のみで制作をうけたまわっております。
某メーカーの工場に勤務していた際には国内向けのモデルをアメリカのショーに出品する事になり急遽ヘッドの一部を切り落とす事になった記憶があります。逆に工房を開設して間もない頃にはストラトボディにオリジナルヘッドは生意気だと苦言を呈されたこともありました。ちなみにフェンダーヘッドでの制作は意外に要望が多いので、ネックでもご案内させていただきました”ザウルスヘッド”はフェ〇ダーヘッドをスケールに応じて縮小した型を基本にお客様のアイデアをデザインした形状をお許しを得てオプションにさせていただいている形状です。レコードのカット盤のパロディ的な意図も感じますが、本来的にはアウトなのかもしれませんが…。
コンバージョンネックに話を戻します。ボディに変更を加えずにネックを差し替えてスケールを変更する事はスケールに応じてナットの位置を変更するということです。最も判りやすい例としましてはロングスケールからショートスケールの変更になると思います。基本的にショートスケールはロングスケールの1フレットにカポタストを取り付けた状態と同じです。ロングスケールの1フレットをナットにして13フレットが12フレットということで大体305mmになります。ロングスケールのナットから12フレットは約324mm(実際にはもう少し短くなります)です。
そうするとロングスケールの22フレットがショートスケールの21フレットと言うことです。ですので通常のストラトのボディにショートスケールのネックを組み合わせる場合はノーマルストラトの1フレットをナットにするネックを制作してロングスケールの22フレットの位置をショートスケールの21フレットにすればコンバージョンネックになります。
実際の製品で同様にしてショートスケール22フレット仕様とロングスケール24フレット仕様を同じボディで構成しているのがフェルナンデスのFRシリーズです。初期には最も安価なモデルはショートスケール22フレット仕様でFR-55という品番で販売して上級モデルは同一のボディでブリッジ等のグレードを上げてロングスケール24フレット仕様のネックを取り付けていました。ショートスケールのナットから1フレット伸ばしてネックエンドに1フレット追加する形です。FR−55の22フレットはヒサシがなくてネックエンドまで少し長くしていましたので1フレット追加してもフレットがヒサシの上になりません。
最も安価なモデルをスチューデントモデルをイメージしてロングスケール24フレットとしてデザインされたボディにショートスケール22フレットのネックの取り付けも考慮して設計されていると思えます。ほとんどのストラトキャスター系のボルトオンネックはフェンダーの形状を元にしていますが、22フレット仕様の場合にはヒサシが追加されますが、ネックエンドがテレキャスターと異なり丸い形状なので両サイドはネック上にフレットはありませんが中央部分にはしっかりとフレットが乗ります。
左の画像は右がFR-55でショートスケール22フレットで、ブラックは’90年に販売開始されてFR-65で元はロングスケール24フレット仕様です。FR-55と同様のショートスケール22フレットネックを制作して取り付けました。オリジナルのロングスケール24フレットネックを差し替えるとそのまま演奏できます。子のボディはミディアムスケール24F仕様も可能だと思います。
ロングスケールからミディアムスケールのコンバージョンネックの場合はわずかですが22フレットは完全にヒサシの上になりますので、指板が薄い場合にはヒサシの部分にネック材を残さないとトラブルの原因になります。スケールとフレット数を含めてデザインされている製品では殆どありませんが、私が所有しているギターではKRAMERのNightSwanの24フレットが完全にネックエンドよりブリッジ側にあります。6mm程度の厚めのエボニー指板ですが、入手から30年程度経過していますが幸い問題ない状態です。このモデルはボディシェイプ自体が後付け感のある深いカッタウェイが特徴だと思いますのである意味マッチしているようにも思います。
また、表題のキャンディアップルレッドはSquierのジャグマスターにWarmoth製のミディアムスケールコンバージョンネックを組み込んだモデルになります。こちらはJGMのボディの元として入手したギターですが、殆ど演奏することなく付属のギグバックに入れて保管していたのですが、ボディ裏に大きな打痕がついてしまいました。狭い場所で保管していたので移動の際に何かに当たったのだと思いますが、安価なギターの付属のギグバックは厚手の布だけですのである程度クッションあるケースの必要性を痛感しました...。こちらは殆ど弾く事もありませんのでオークション等で売却も考えています。
§ 在庫ボディ+コンバージョンネック §
コンバージョンネックも含めて当工房ではネック単体制作のオーダーもうけたまわっております。基本的にはギターをお預かりしてそれに合わせてネックを制作して組み込み・調整してお返しする形になりますが、オリジナルパーツやピックアップの変更も別途お見積りになりますがうけたまわります。
販売中のモデル以外にも試作等によって在庫になっているボディ・ネックはまだあります。今回はその中のPTのボディの2トーンサンバーストに仕上げているアルダー2Pボディに合わせてカスタムオーダーネックを制作するネック単体制作の販売をご案内させていただきます。
PTはミディアムスケール24フレットのボディとしてデザインしました。シンメトリックでソロイストやJEMをイメージしました。今回販売するモデルは外周の面取りが少し大きめでサイズ的にはコンバージョンネックの例としてご紹介させていただきましたFTに近いサイズの比較的小ぶりなボディです。材は基本仕様のアルダー2Pです。2HB仕様ですがSSHやHSHも可能なザグリ形状ですのでご希望がありましたらお見積りいたします。ピックアップはご指定いただけますが、基本仕様との差額を承ります。1ヴォリューム1トーンでミニトグルまたはレバースイッチになります。
基本仕様ですので価格はクロムパーツになります。ブリッジはGOTOHのGE1996TまたはFloyd Rose Special のいずれかで、オリジナルは差額をうけたまわります。ネックの仕様は角度無し板目メイプル材にメイプルまたはインディアンローズ指板のいずれかを選択いただけます。エボニー等は追加料金でうけたまわりますのでご希望がありましたらお見積りいたします。ナットはロックナットですが、幅は選択いただけます。グリップ形状やヘッド形状もご指定可能です。ネックの仕様等につきましては前々ページのネックの記載をご覧ください。
ブッシュ4点のニューカットでジョイント回りの演奏性は高いです。 ピックガードはホワイトまたはブラックの1P または3Pですがパール柄やべっ甲柄も追加料金で選択可能です。ミディアムスケール24フレットまたはショートスケール24フレットネックになります。詳細は準備が出来ましたら販売のページをアップいたします。画像のボディに合わせてネックを制作して基本仕様の本体価格は138,000円を予定しています。制作期間は約3か月程度の予定です。
ボディカラーは2トーンサンバーストなのでホワイト1Pピックガードにメイプルネックをイメージしていますが、お好みの仕様でオーダーをお待ちいたします。販売のページをアップ前でもご検討いただける方がいらっしゃいましたらお気軽にお見積りをご依頼ください。早期お申込みで割引やサービスもさせていただきます。