製品ファイルVol.16

 

〜 コンバージョンネック  〜

 

 

 ワーモスからストラトキャスターのミディアムスケールのコンバージョンネックが販売されています。こちらはフェンダーと契約していてストラトやテレキャスターのヘッド形状のネックを制作していますが、こちらのネックとフェンダーではありますが、今は無きフェンダージャパン製のストラトネックを比較してコンバージョンネックの仕組みの説明をしてみます。

 

 

§ コンバージョンネックとは §

 フェンダージャパンブランドで製造されたミディアムスケールのストラトキャスターはST-314ですが、通常のストラトキャスターのボディにミディアムスケールのネックを組み合わていてブリッジの位置を移動させています。当然そのネックをノーマルのストラトキャスターに取り付けてもスケールが合いませんし、逆にノーマルのストラトネックを取り付けても同様です。

 314の場合はネックエンドの幅も狭くなっていますから’70年代のストラトキャスターのネックは可能かもしれませんが、取り付けたとしてもロングスケールのギターにはなりません。ブリッジの位置がノーマルよりもネック側に移動されている為です。コンバージョンネックは、ノーマルのストラトキャスターにミディアムスケールのネックを適合させるのにネックエンドのフレットをスケールが短くなるのに応じてブリッジ側に移動させています。

 コンバージョンとは変換 と言う意味なのでストラトキャスターのネックでミディアムスケールコンバージョンネックと言いますと、ロングスケールのストラトのボディのネックと差し替えてミディアムスケールのギターに変換する製品になります。現在は各メーカーからストラトキャスターを模したモデルやコピーが販売されていますが、基本的にはネックポケットの幅や深さからネックエンドからブリッジまでの距離はフェンダー製に合わせる形になっています。ストラトキャスターはネックを簡単に交換できますが、交換したネックも元の結句と同様にネックのエンドから最終フレットまでの距離が一定に作られています。

 元々ストラトキャスターは21フレット仕様でしたが、近年では22フレット仕様も多数存在しています。ネックエンドよりナット側にに22フレットはギリギリ収まりますが、エンドの形状がラウンドになっているので両サイドは外れてしまいます。ですからヒサシ(ツバ)を出して指板を追加してフレットがネックの上から外れない様にしています。ネックエンドとフレットの位置を変えないのはブリッジの位置が変わらないようにするためです。つまりストラトキャスターのネックは21フレットからネックエンドの位置が決まっていて、ネックポケットの端からブリッジまでの位置も同様に決まった長さになっています。

 ストラトキャスターであればナットからブリッジの長さは約648mmで324mmスケールと呼ばれる事がありますが、それはナットから12フレットまでの長さで、648mmの半分で12フレットがスケールの中央になります。フレットの感覚はスケールにより決まっていますから、ブリッジからネックエンドの距離はボディにネックを取り付けて12フレットまでが324mmになるように決められています。

 ロングスケールのストラトキャスターに取り付けてミディアムスケールにするコンバージョンネックは同様にブリッジから12フレットまでの距離が314mmになる位置にフレット溝の位置を移動させているものです。ですのでネックのエンドをあわせますと、12フレットの位置が約10mmブリッジ寄りになっています。ネック全体がボディエンド側に移動しますので、ジョイント付近はカッタウェイよりもブリッジ寄りになりますが、ブリッジとナットの距離がミディアムスケールになりますので、ロングスケールのボディに取り付けてミディアムスケールのネックとして問題無く演奏できるようになります。。

 下の画像の様にストラトキャスターのネックは、22フレットがネックポケットの中に納まりますが、ミディアムスケールのコンバージョンネックはネック材から外れてブリッジ寄りになってヒサシの上に22フレットが移動します。ちなみにフェンダースケールは324mm×2で648mmと言われていますが、元々は25 1/2インチですので厳密には328mmよりも僅かに短いです。またギブソン=ミディアムスケールですが実際のギブソン製は同様に若干短くなっています。ミディアムスケールとして作られているギターは基本的に314mmスケールが殆どですが、微妙に異なる事もあり某社は315mmでした。ギブソンは元々がインチでスケールを決めているのに、ミリが基準の国産ギターとは違って当たり前かもしれません。

ネックエンドの位置を合わせるとこんな感じになります。

 少し余談になってしまいましたが、つまり、ボディのブリッジの位置と12フレット(ナット)までの距離をスケールに合わせてジョイント部分のフレットの位置を移動されるとロングスケールのストラトキャスターのボディを全く加工することなくミディアムスケールのネックに交換してスケールを変更する事が出来るようになります。同様にフェンダーとギブソンの中間的なPRSの25インチスケールのネックでも12フレットとブリッジの長さを合わせてネックエンドのフレットを動かせば通常のストラトキャスターをPRSのスケールのギターに出来ます。

 以前、オーダーでジャガーのネックを制作したのですが、最終フレット+1フレットでナットからヘッド側に+1フレットでロングスケール24フレット仕様にしたことがありました。これもある意味コンバージョンネックと言えると思います。分かりやすい例ではFernandezの名器FRは上位機種がロングスケール24フレットでエントリーモデルがショートスケール22フレットと言う構成になっていました。多分FR‐65だったと思うのですが、こちらにショートスケール22フレットネックを制作した事があります。こちらも放置して状態が悪くなっているのでミディアムスケール24フレット仕様のコンバージョンネックの制作を企画しています。

 その他、ST38Sのボディでさらに短いスケールのネックを組み合わせてミニギターにする等幾つかアイデアはあります。また、ワーモスではテレキャスターのミディアムスケールのコンバージョンネックもあり、こちらも以前ネックをお預かりして当工房のミディアムスケールサイズのボディを組み合わせて制作をしたことがあります。基本的にはスケールが合う位置にブリッジを配置出来ればスケールを変更するのは可能です。

 当工房のネック単体制作は、当工房のストラトタイプ等と同様に基本仕様でナット幅やグリップ形状のカスタマイズが可能です。また、ヒールカットに合わせたり特殊な形状もうけたまわります。組み込み・調整までを含み58,000円からになります。ギターやスケール、フレット数等は出来る限り対応いたしますのでお問い合わせください。基本的にペグ等は元のネックの流用ですがパーツ代別途で変更等も可能です。

§ ジャグマスターボディ+ワーモスミディアムスケールコンバージョンネック §

 ヤフオク!に出品して売れなかったジャグマスターのミディアムスケールネックは出荷可能な状態にしたまま保管していたのですが、再調整して販売します。ワーモス製のコンバージョンネックは直輸入でオーダー可能ですが現在のレートでは送料込みで60,000円位になります。こちらは20年近く前に購入したもでロッドにはGOTOH製のアジャスト可能な機能がネックエンドにあります。

 木地の状態で2本購入していて一本は当時のまま上の画像のものです。ジョイントやナット付近の形状は少々癖があってジャグマスターに取り付けているものは磨きなおしています。フレットはジムダンロップ#6150ですのでギブソン系のジャンボフレット相当です。ローズ指板で240R〜400Rの円錐タイプです。ナットは無漂白の牛骨で42mm幅です。グリップ形状は少し磨きなおして当工房のUシェイプの感じですが厚みは一般的な1フレットで20mm、12フレットで22mm程度です。

 塗装はナチュラル仕上げでポリ系の塗装にしています。ペグはシャーラー製でロックタイプを取り付けています。ヘッドに角度がありませんので1,2弦にローラータイプを取り付けています。取付穴はアメリカンスタンダード等のアメリカ製に無加工で取り付けられる位置ですが、中国製のスクワイアに取り付けるのに塞いで開け直しています。オリジナルはブラックのピックガード2HBでロングスケール21フレットでした。ホワイトパール柄のピックガードを制作してP90に変更しています。

ジョイントプレートにスクワイアの文字があります。ホーン近くに打痕で塗装剥がれがあります。 シャーラー製のロックペグです。

 ワーモス製のミディアムスケールコンバージョンネックにシャーラー製のロックペグを取り付けてジャグマスターに取り付けたこちらを65,000円で販売します。詳細につきましては近日中に製品のページをアップします。通常はハードケースを付属させて販売しますが、こちらはジャグマスターを購入した際の三角箱に緩衝材を入れて補強して付属のギグバックに入れて発送します。販売のページをアップする前にこちらのページをご覧いただいてご購入いただける方は送料をサービスいたします。ご希望の方はメールでお問い合わせください。