§ ブロックの追加 §
DGストラトタイプの標準仕様のトレモロブロックに手を加えてみることにします。上の画像のとおりパーツの構成はノーマルのシンクロと変わりありません。
ブロックの形状は上の画像のようにプレート側から見ると通常と換わらないように見えますが、弦が通る部分以外をカットしたような感じになっています。機能的に最小限の質量で構成する事以外に目的が感じられません。
あえて言うならば、カットされた分だけブロックの稼動範囲が大きくなっていますが、、肝心のエッジ部分がそれに追いついていないと思われますのでメリットは殆どないと思います。
構造としては、一体ではなくてベースプレートと別になっていて3つのネジで固定されていますが、ピッチがちがいますので穴の位置が一般的なシンクロとは異なるので取り付けビスの位置が同じだった場合でも流用は出来ません。
追加する鉛板ですが、見た目でえぐれている部分に金属等を取り付けても通常のシンクロと同じ様な形状になり、稼動範囲には影響がありませんのでこの部分に取り付ける事にしました。
画像の下にあるのが、鉛板を折りたたんで形成したものです。この状態で約60gありますので、追加すると、10ピッチトレモロと同じ重量になります。形状もほぼ通常のブロックと同じ感じです。
削ぎ落としたようになっている部分に貼り付けたので、その事によって稼動範囲が失われる事はありません。むしろ余裕さえあります。ネジの下穴を開けられれば、誰でも加工が出来ますので、もし同型のトレモロユニットをお持ちの方も試されても良いかと思います。
鉛板はアームの差込部分の厚さに合わせてあります。右の画像は鉛板をネジ2本で固定したところです。ネジだけでも脱落する事は無いように思いますが、念のためにエポキシ系の接着剤で隙間を埋めて一体化させます。
稼動する部分ですし、万一ネジが緩んだりして鉛板が脱落すると危険ですのでその防止が目的ですが、質量がブロックと出来るだけ一体化したほうが好ましいようにも思われます。
このトレモロユニットは比較的安価なモデルに搭載されている場合があるので、お持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、この方法ですとホームセンターで入手できる材料と道具で簡単にブロックを重くする事が出来ます。
鉛板をブロックに貼り付けるだけですが、手にするとしっかりとした重さがあって良い感じになりました。トレモロをDGストラトに取り付けてその効果を確認してみます。
§ インプレッション §
DGストラトタイプの試作が途中まで進んでいたので、仕上げて取り付けることにしました。試作に取り付けたトレモロはブロック部分に鉛板を追加している他にサドルをゴトー製のハードテイル用のものに変更しています。下の画像がブリッジ部分を拡大したものですが、パッと見はSTMのトレモロと外見上の区別は殆どつきません。
稼動範囲はやや小さいので、アップリセス加工をしてあります。サドル取り付けビスまではクリアしない程度の深さですが、ノーマルシンクロとしては充分な稼動範囲を確保できます。ザグリ自体も、一見何も加工していないように見えます。
古川氏が以前所有されていたSTMと同様のザグリです。 本来であれば、同一のギターでブロックの重量の追加前後での印象(具体的数値等で示す事が出来ませんで申し訳ありません)の違いを挙げるのが一番ですが、実際にそのまま取り付けてからと加工後のトレモロを取り付けるまで期間が開いてしまったために通常のブロックのまま取り付けているギターと比較してみる事にしました。
実際に同じ状態のトレモロを取り付けた状態で2本を比べた際はトレモロユニットの印象が殆ど同じでしたので、記憶をたどるよりは確実だと考えました。
比較したのは、DGが所有するSTMボディにDGネックと同型のトレモロを取り付けたモデルです。リセス加工はしてありますが、ブロックはそのままで使用しています。また、サドルはノーマルではなくスティールサドルに交換しています。その他ピックアップ等もサンプルのDGストラトとは異なりますが、参考になると思われます。
トラディショナルなスティールサドルです。 トレモロユニットを比較した2本です。 まず、ブロックの重量増加によるサスティーンの差ですが正直なところ殆ど判りませんでした。全く差が無いとは思いませんが、仮にブラインドテストをさせられた場合に自信を持って確実に言い当てることが出来そうに無い程度の違いです。また、比較したギターはサドルが異なるのでその辺りも考慮しなくてはならないと思われます。
ただ、音の立ち上がりと減衰の仕方は明らかに違って、そのままの方はピッキング直後の立ち上がりが鋭くてその後急激に音量が落ちる感じですが、ブロックに質量を追加した方は比較的均一な感じで音が減衰する印象です。サドルの違いを考慮してもピッキング直後の独特の鳴りのようなものはブロックが軽量であるためにスプリングに共振したような音ですので、それがブロックが重くなった事により無くなったのだと思われます。
共振のロスが無い分だけもしかするとサスティーンに差があるかもしれませんが、考えていたほど顕著ではありませんでした。全体的な印象としましては、ブロックに質量を追加したものの方がST−314、STMの6点シンクロと交換した場合により違和感が無いように思いました。それは次に挙げるアーミングした際のタッチ等の感覚も合わせて考慮しなくてはならないかもしれません。
アームを動かした時のタッチは明確に違いを感じます。明らかにアームを動かした後の収まりが良い印象です。動き自体も安っぽさが無くなった感じがします。もともとの状態ではバネが直接弦に繋がれていたような感じでチープな動きでしたが、質量を追加+したブロックは収まりが良くなったようで、チューニングもより安定しているようです。
ブロックに鉛板を貼り付けてのブロックの重量を重くする改造ですが、結果としては良好だったと思います。具体的な数値等で示す事が出来ないのですが、少なくともDGストラトの基本仕様の6点トレモロのブロックに質量を追加した事で不具合はありませんでした。強いて挙げるならば重量増加ですが、その他のトレモロ並の重量になっただけなのでこちらも問題ないと思います。
劇的なサスティーンの増加は見られませんでしたが、私の個人的な印象としては、ブロックの重量が増えた(一般的?なトレモロ並になった)事で以下の変化が確認できました。また、重量追加によっての不具合は特にありませんでした。
- 音の減衰がオリジナルにあったチープさがなくなり自然な感じになった。
- アームのタッチも同様に安っぽさがなくなった。
ベースモデルとして価格を抑える意味合いもあり、基本仕様で採用していたトレモロでしたが、ブロックに重量を追加してアップリセスザグリを追加することでそれなりの戦闘力が備わった感じです。DGストラトの基本仕様として、価格は据え置いてブロックの質量追加とアップリセス加工を追加する事にしました。基本仕様のサドルはこのページの一番上の分解してある画像のものになります。
今回トレモロの改造のチェックに使った赤べっ甲ピックガードのDGストラトを特価にて販売予定です。準備が出来次第トップページのロゴ→販売のページにてご案内します。現在DGテレキャスタータイプのショートスケールカーブドトップバージョンをスペシャルプライスにて販売中です。
また、フェンダージャパン製のST−314やSTM、STSにつきまして特集しているページへのご案内もそちらからいたしておりますので合わせてご覧ください。近日STMにつきましての特集を追加する予定です。