§ DGSTの6点シンクロトレモロ §

 現在DGストラトタイプは6点シンクロトレモロタイプを基本仕様としています。10.5mmピッチである事とトラディショナルなルックスである事から採用しています。また価格もかなりリーズナブルですので、基本仕様を出来るだけ低価格で提供したいという事とも一致しました。

 ノーマルのシンクロのベースプレートを基本として製作されているようで形状は、殆ど同じです。同様にST−314やSTM(6点・2スタッド)、THE TEN等のベースプレートの形状もノーマルシンクロとほぼ同じなので、このトレモロはそれらを基に製作されたものかもしれません。

 10.5mmピッチの6点シンクロトレモロは、何れも穴の間隔が同じなので無加工で取り付けられますが、ノーマルのシンクロとは間隔が異なるので穴を開け直さなくては交換は出来ません。

 ST‐314やSTMの6点のものとDGSTの標準仕様の6点シンクロは、ベースプレートの形状は同じですが、ブロックは形状が違う為に取り付け穴と弦、アームの穴がずれてしまうので互換性はありません。

 性能的には通常の6点トレモロと同様に使用するのには充分だと思いますが、一般的なシンクロと比較するとやや劣る部分が少なくありません。メッキの質感やネジの精度等々挙げられますが、特にブロックが軽量である事に不満を持つ方がいらっしゃるようです。

 ブロック自体も小型ですがエッジ部分の精度もそれなりで、それ程可能範囲が大きくないので機能的にはそれ程意味が無い様に思います。何よりアーミングの際の動き方がチープな感が否めませんし、もう少し重量があるほうが好ましいと思います。

 

右側がSTMのトレモロです。 ブロックに鉛板を追加しています。

 

 YAMAHAのSG−2000は、ブリッジ下に真鍮のプレートを仕込んでサスティーンプレートと名付けてサスティーン向上を謳っていましたし、やはりブリッジ部分の質量を大きくするのはそれなりに効果があると思います。シンクロの場合はサドルも大きな要因となっていると思いますので、イナシャーブロックを重くする事が即サスティーンに変化を及ぼすとは言えない様に思います。

 稼動範囲が少ない事に付きましては、アップリセスザグリをする事でカバーできます。コストを優先させて、基本仕様のブリッジはあまりお勧めできないと言うのも問題ですので、ブロックの形状を利用して質量のあるものを取り付けてイナーシャーブロックを重くしてみる事にしました。

 

§ 重量の比較 §

 

 参考までに手元にあるノーマルのシンクロナイズトレモロを計測すると、約320gでした。ヴィンテージタイプなのでスティールのサドルの6点のものです。ちなみ工房の在庫のシンクロ系のトレモロではウィルキンソンVS−50が断トツ最重量で約385gありました。

 フェンダージャパン製ミディアムスケールのストラトのブリッジの重量ですが、ST−314の6点エンドロックス、スティールサドルが約315gです。ほぼ同仕様のSTM初期の6点タイプは、重量も殆ど同じで320g弱、後期STMの2スタッドは300g弱です。

 ST−314以外が削りだしのサドルである事を考えると、少しずつ軽量になっているのは興味深い事です。ほぼ同様の構造で単品で販売されたTHE TENはブラス製と思われるブロックの為か、カットされた形状にもかかわらす約350gあります。 

  現在DGSTの基本仕様になっている10.5mmピッチトレモロのベースプレートは、ST−314やSTMに搭載されていた10.5mmピッチのトレモロと殆ど同型で、重量差は殆どないので、ブロックの重さがそのままトータルの重量差になっていると言えます。

ブロックの形状の差が重量の差になっている感じです。

  画像は左から、DGST基本仕様のシンクロタイプ、THE TEN、VS−50です。ブロックの大きさ順に重量があります。比較するとDGSTのシンクロタイプのブロックがとりわけ小型で、軽量化しているとも思える形状になっているのが判ると思います。ブロックを小型化しても、エッジの稼動範囲が追いついていない感じです。むしろ材料を少なくするためにコスト的な意味合いが大きい形状であると思います。

  当然、重量と共に材質の違いの影響もあると思いますので、重いほどサスティーンがあるとか良い物であるということでは無いと思いますが、ある程度の重量が必要な様に思います。具体的にはアーミングした際の動き方や、チューニングの安定に影響があると感じました。