塗装について

 ’70年代のフェンダーはポリエステル・フィニッシュです。この塗料は大量生産には適していますが逆にDG工房のようにカスタムギターを1本ずつ作るのには向きません。ポリエステルフィニッシュはその塗膜の厚さから鳴りの悪さの元凶のように言われています。とはいえ量産ギターの殆どはポリエステルかウレタンによる塗装です。
 私が最初に購入したギターもポリエステルフィニッシュでした。それでも半年程弾きこんでからは明らかにボディが鳴ってきたのを感じました。何か改めてそれが自分のものになったような感じがして、嬉しかったのを覚えています。アコースティックギターと違ってエレキギターの場合はその他にも音を決定する要素が沢山あります。あまりラッカーフィニッシュにこだわり過ぎることも無いのではとも思います。またラッカーフィニッシュといえども塗膜の厚いものも少なくありません。いずれにしても確かに厚すぎる塗膜は百害あって一利無しと言えますがポリエステルやウレタンがラッカーに比べて優れている点もあります。

 ラッカーフィニッシュのギターはその保管や取り扱いが難しくトラブルが起こりやすいものです。ポリエステルやウレタンは通常に扱っている限り、少なくとも外見は購入した状態に保てます(経年変化が全くない訳ではありません)。塗装本来の目的は木部を美しく仕上げて保護する事でありその点から見ればラッカーより遥かに優れています。一方ラッカーフィニッシュのギターは、注意深く取り扱っても長年使い込むと経年変化と演奏による傷等が風格を感じさせるようになりオールドギターの魅力となっています。

 最近は初めからそのような経年変化を再現したいわゆるエィジドフィニッシュを施された製品がありますが、正直私は゛?゛と思っています。
 昨年キャメルのステージを間近で観るチャンスがありました。お目当てのアンディ・ラティマーはバーニーのLPモデルにE・ボウという不思議な?組み合わせが印象に残ったのですが、ベーシストのコリン・バースのJBは以前音楽誌の楽器紹介で取り上げられたもので見覚えのあるものでしたが、ステージ上での彼の演奏スタイルと一致するその塗装の剥れは長年彼と共に音楽のキャリアを積んできた証であり、以前見た写真からさらに弾き傷等が加わっていてまさに風格すら感じて少し感動してしまいました。


 少々オヤジのぼやきになってしまい失礼しました。DG工房の塗装はオールラッカー(ニトロセルロース)です。長くご愛用頂きプレイヤーと共に年月を重ねてもらえればという私の願望も込めての事でもありますし、゛鳴り゛もそうですがやはりラッカーならではの独特の艶っぽい光沢はかえがたいもののように思えます。
 しかしラッカー塗装は経年変化による劣化は避けられず、気温、湿度の影響を受けやすく厳重に管理してもトラブルが起こる可能性があります。ウレタンでも塗膜を薄くして仕上げる事ができますのでDG工房では、経年変化の少ない仕上げをご希望のお客様のためにウレタン塗装も準備中です。

 いずれにしてもやはり美しく仕上げるには時間が掛かります。当工房で製作開始からお客様にお渡しするのに約3ヶ月間の期間を頂いているのはこのためでもあります。(ウレタンの場合はもう少し短縮可能と思います)HP上の写真では判りづらいですがこのリッチーモデルも下地から全てオールラッカーです。

 


 DG工房製品第一弾として、ミディアムスケールのストラトキャスタータイプを(ロングスケール仕様でしたが)ご紹介させて頂きました。トップページの製品紹介にて近日価格・仕様等をご案内いたします。
 また、現在製作中のサンプルギターの準備ができしだいご覧頂いたコーナーで特別価格にてご紹介させて頂きますのでよろしくお願い致します。


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