TLMについて 2

 

  

  リペアでお預かりしたTLMのボディカラーがカタログにない色でしたのでオーナー様のご了解をいただきご紹介させていただくことにさせていただきました。入手された際にはピックガードが無かったと言うことでその製作等のご依頼をいただきました。

 オリジナルのピックガードはTLM-500(53 58)と同様のブラック3Pと想像しているのですが、同モデルを所有されていたりご存知の方がいらっしゃいましたらご教示いただければ助かります。個人的にはこの色にはホワイト3Pも合うと思います。

 

TLM用ホワイト3Pピックガード (5,000円送料込み) 2枚在庫あります。

 ブラックやナチュラルをお持ちの方もいかがでしょうか。ピックガードの型はEシリアルのモデルから起こしましたが、Hシリアルのこちらのボディにもピッタリでした。もしかすると1ロッドのみの製作なのかもしれません。上の画像のTLM用ホワイト3Pのピックガードを送料込みで5,000で販売します。

 少々 剥がれてしまっている部分もありますが保護のビニールは剥がしておりませんので新品のピックガードです。テレキャスターの場合はピックガード単独でネジ止めされていますので、オリジナルのピックガードと簡単に交換可能です。

  ご購入をご希望の方は当工房にメールでお知らせください。TLM用のホワイト3Pのピックガードは在庫が2枚ありますのでご入金の確認後、直ぐにレターパックで発送可能です。その他の色でも製作をうけたまわりますので、ご希望の方もお気軽にお問い合わせください。また、STMのピックガードの製作もうけたまわります。

 

 先のTLMの記事では主に大きさや仕様について記載しましたが、説明していなかった部分等も合わせてご説明させていただきます。誤りや不足がありましたら掲示板やメールでご指摘いただければ訂正等させていただきます。またTL314-55の情報等もありましたら、よろしくお願いします。

TLMの仕様等について

 

 上はフェンダージャパンの'90年のカタログのTLMとTCMです。ボディカラーはブラックとナチュラルの2種類でボディがブラックはバスウッド材でナチュラルがセン材で価格差はありません。

 他の年度のカタログも調べてみましたが、後に値上げされた際にナチュラルとブラックで価格に差が付いてナチュラルが5,000円高くなりましたがボディカラーの追加の記載はありませんでした。

 センはジャパニーズアッシュとも呼ばれてその名のとおり日本の材でアッシュ材と見た目が近いので代用として使用されます。当たり外れがありますが、問題ない部分であればアッシュほどは抜けませんがボディ材としては問題ない材です。

 同シェイプのTCMのボディカラーはブラックとホワイトですがボディ材は何れもセンになっています。私の記憶では当時はアルダー材よりはバスウッドは安価で、日本の材のセンも同等の価格だったのだと思います。テレキャスターのボディはアッシュ材のイメージですので、ナチュラルではバスウッド同等の価格で見た目がアッシュに近く入手が容易だったセンが採用されたと考えられます。

  お預かりしたモデルは以前にご紹介したTLMと同型で、シリアルナンバーから88年から89年製で塗装の状態を見てもオリジナルでリフィニッシュしたものではありません。STMにはカタログには存在しないカラーバリエーションがありますが、それらは楽器店によるショップオーダーでした。同じようなモデルとも考えましたが、それにしてはあまりにも情報が無いように思います。

 この時期のフェンダージャパンは市販モデルのカスタムオーダーを受注してる様なので上級機種以外でも販売店を通して個人の依頼を受注してくれていたのかもしれません。私が無知なだけでショップで広告されていた様なことがありましたらご教示ください。何れにしましても想像の域を超えませんのでこのモデルをみて改めましてTLMについてまとめてみようと思います。

 ちなみに上の画像にはありませんが、TLMの左隣には6点トレモロの前期STMのアルダーボディの3トーンサンバーストが掲載されています。工場で働いていた同期が画像と同色のモデルを所有していたので、少しうらやましかった記憶があります。安価なモデルのボディ材はバスウッドやポプラが殆どでシースルーのアルダー材はとても魅力的に思えました。

 また、2点トレモロに切り替わる時期でその他に廃業してしまったタケウチ製のフロイドローズを搭載したSTMもあって画像の右上に僅かにみえるのがSTSです。この頃はSTRやPRSスケールのストラトタイプもラインアップしていてカタログを眺めるだけでも楽しい時代だったと思います。

  

ボディ関連について

 ネックポケットに品番がスタンプされているのはTLMも同様ですが、価格を表すハイフン以降は5としか読み取れません。ポケットから見える木目は殆どアッシュ材のような感じでしたが、加工した際の木屑の香りは明らかにセンでした。ナチュラル塗装の材ですので節や見た目の悪い木目はありませんが、3P材です。

 ボディの厚みは42mmでトレモロ仕様のSTM等より約3mm薄いのが基本のようです。以前リペアで扱わせていただいたTCMも同じ位だったと記憶しています。参考までにこのモデルはピックアップの変更等もありますが、弦を張った状態で約3,600gですのでそれほど軽量ではありません。販売中のテレキャスタータイプは3,400g弱になります。

 大きさ等は前回の記事に記載していますが、完全にスケールの比率で縮小していないようです。当工房で製作しているミディアムスケールのテレキャスターはSTMと同様にスケールの比率で縮小させていますがTLMは僅かですが大きいです。

ボディカラーによりTLMが小さく見える程度の差です。 打痕から見える塗装は薄めです。

 テレキャスターのボディは大別しますとヴィンテージタイプとカレントタイプになりますが、TLMはヴィンテージタイプの形状になると思います。ネックポケットの部分はSTMシリーズと同様にネックのひさしの部分はカットされてポケットトピックガードの間には隙間があります。

 ピックガードは多分ブラック3P一種類のみと思いますが、取り付け穴は'50年代と同様の5点止めです。カタログでしか確認できませんが、TL314-55は7点止めで形状もノーマルに近い印象です。ヴィンテージに倣う感じは殆どなくて、STSのピックガードのビス穴は8点止めですが一部ヴィンテージと異なり変更の意図も不明で間違いではと思われる位置にあります。

 STMシリーズは弦間ピッチに拘りがみられましたが、TLMは当時一般的だった11ミリピッチのブリッジですがヴィテージタイプでなくて個別のサドルのタイプになっています。テレキャスターシェイプですがフェンダースケールではない事もあってか良くも悪くもヴィンテージの仕様には拘りがない構成だと思います。何故かジョイントプレートはラウンドカットヒールではなくて、スペーサー付の通常の4点なのはTL-314と同じなのでそれと関連があるような気もします。

ネックについて

 こちらもローズ指板と同じような感じのグリップです。ナット幅は40mmですが、ブリッジが11mmピッチなので22フレットはSTM等よりも1mm広く一般的な56mmです。傾向として製造年が新しくなる程グリップが薄くなる印象ですが、こちらも前回ご紹介したグリップよりも薄めの感じです。ロゴはカレントタイプでブラックにゴールドの縁取りです。ちなみにTL314-55のロゴはST314と同じゴールドにブラックの縁取りでTELECASTERの文字も小型になります。

ストリングガイドは2つ取り付けられています。 TLM-55と言う品番はカタログでは確認できませんでした。

 ヘッド形状以外はSTMと同様でティルト部分は20mm弱の大きめのロッドのエンド部分があってグリップ側にはスカンクラインがあります。ヘッドには黒い筒が仕込まれていてそこから六角レンチでロッドの調整が出来ます。通常の1Pネックの見た目で機能的にはロケットナットと同様に弦を張った状態でロッド調整が可能です。

 カタログの品番は500の次は58ですので、もしかすると通常のラインとは別のカスタマイズされた製品用として用意されたのかもしれません。カタログでも製品のカスタマイズの受注が可能であると言う記載がありますので、TLMにもボディカラー変更の設定があって用意されていたネックであればボディの不鮮明な品番は55でナチュラル以外のカラーのボディだった可能性もあります。

 この時期のフェンダージャパンの製品には指板や指板エッジ付近の塗装が剥がれやすいネックが少なくありません。STMシリーズも例外でありませんが、このネックも指板やエッジ周りが剥がれている部分があります。クリアコートの密着が良くなかったのが原因で通常の使用で日焼けした後に皮膚が剥がれるように剥離してしまいます。その下は薄いシーラーですのでオイルフィニッシュのように黒くなってしまいます。

 この時期のフェンダージャパンはラッカーフィニッシュや量産の製品のカスタマイズの受注等を行っていましたので、生産する工場の大変さは予想できます。その中でこのモデルの様に通常にはないボディカラーの製品が存在が確認できるというのは、弊害を補って余りあるようにも思います。もちろん大切にしているギターの塗装にトラブルが生じるのは良いことではありません。

 このTLMも販売されてから既に四半世紀以上の日時が経過していますので、オールラッカーで製作されたヴィンテージがボロボロの状態で価値があり大切にされている事を考えますと、当時は考えられなかったフェンダー製のミディアムスケールギターと言う意味もありレアで価値あるモデルの一本だと思います。

 

 2018 5 22