∞ ボディの変更点 ∞

 ST314はノーマルのストラトキャスターのボディにミディアムスケールのネックを組み込むのに、最終フレットを合わせてブリッジをネック側に寄せています。

 ブリッジの位置がネック寄りになったことで、当然シンクロのザグリの位置が変わっています。それに伴なって、ピックガードはアレンジされています。

 基本的な形はノーマルのストラトキャスターと同じですが、ブリッジがネック寄りになったのに合わせてブリッジ周りをつめた感じです。そのためにブリッジの6弦側はやや急激に丸くなって、逆に1弦側は緩やかにトーンノブ側に繋がっています。

 STMでは、フロントピックアップがほぼ24フレット上になる位置にありますが、ST314はフロントはほぼノーマルストラトの位置でリアがやはりブリッジからの距離はノーマルストラトと同じになっているようです。ミドルはフロントとリアの距離が短くなった分見た感じが同じになるよう移動させているようです。

 下の写真はノーマルストラトのピックガードにST314のものを重ねたものです。隠れている部分はほとんど同じです。見えている部分をカットしてブリッジの位置に合わせた様子が分かると思います。

 ピックアップの位置を見ると、フロントが同じでリアもブリッジと等間隔でネック側に寄っているのが分かります。そしてその約半分の幅でミドルもずれています。

 注意深く見ると、ブリッジからボディエンドまでがやや長くピックガードも少し窮屈な感じがしますが全体的に違和感なくミディアムスケールのネックを組み込むことが出来ていると思います。何しろ、私は長い間カタログ写真を見ていても気付きませんでした...。 

 


ノーマルのピックガードとの比較です。

 

 強いてボディの形状で変化があるところと言えば、ジョイント部分です。最終フレットの位置が同じにしているのと同様に6弦側のカッタウエィもロングスケールと同じく16フレットにしています。当然スケールが短くなった分21フレットから16フレットの距離も少し短くなっているので、カッタウエィがネックに繋がるラインがやや緩やかになっています。

 これも先に述べました様にストラトキャスターのボディ形状は個体差があり、それほど不自然な感じには思えません。実際、約2mmほどの違いですし、6弦側のホーンの部分は特に個体差が見うけられるところなので明らかにスケール変更による変化とは見えません。

 ジョイント部分をボディの裏側から見ると、フレット位置に合わせてポケットを削っている感じが判ります。※1当然かなり意識しないと気が付かない程度のものです。

 ジョイントは通常の4点プレートが使われています。プレートにはパッドが付いていて、当時シャーベル、クレーマー等がやたらゴツいネーム入りのプレートを使用していたのを思い出します。

 ブリッジは6点支持の10.5mmピッチのEND ROX付のものです。ベースプレートが通常のシンクロよりひとまわり小さい為、ちょっと見ただけではピックガード形状が窮屈に見えない要因にもなっています。

ノーマルの4点プレートです。シリアルはヘッドにあります。 FENDERの刻印があります。

 その他スプリングハンガー部分のパネルはSTMのように落とし込まれてなく、ノーマルのストラトキャスターと同じです。

  ギター単独で見ると、ネックが短くなっている事は気にならない様に思います。演奏している姿はノーマルのストラトキャスターを手にしている様に見えます。

 ※1   実際に削っていてもほんの僅かですので磨きによる形状の違いだけかもしれません。

 

∞  ザグリについて  ∞  

2004.11.3 追記

  PUはSSHのザグリでミドルPUが広い独特の形状をしています。コントロールザグリはストラトそのままのようです。当初は、スケール分リアとフロントをずらして切削した結果、縦長の形状になった(冷静に考えると22フレット以降のスケール差はあれほど大きくはありません)のかと考えていたのですが実際は、3SとSSHザグリを共用させて何れにも使えるようにした形状です。

 SSHにする場合は、リアPUの位置にハムバッカーを取り付けただけの場合と、見た目のバランスを取ってフロントとリアの中間の感じにする場合がありますが、ST−314は後者でミドルPUの位置が移動します。その為の縦長ザグリです。

 リアのハムバッカーザグリの両端がやや大きくザグられていて、スラントしたシングルコイルが収まるようになっていますが、ややタイトな感じです。

 STMになると、いわゆる弁当箱ザグリになりスペース内であればあらゆる構成が可能になりますが、後期はミドルをシングルザグリにしてやや小さめのザグリに変更になります。恐らくSTMになってからラインアプされたHSH構成の機種に対応する為のものと思われます。ちなみにST−314には2HBモデルは無く、カタログに見られる2HBのミディアムストラト(ST535という機種があります)はPGレス仕様でした。