ボディについて

 完成したモデルとサンプルとなった’72年製ストラトキャスターを並べてみました(右の写真)。撮影が下手で分かりづらいですが、リッチーモデルのほうがボディが少し小さくなっています。フェンダー以外でもストラトタイプの製品が多くありますが(全て確認したわけではありませんが)近年のものはいずれもボディを小型化しているように思われます。

 ストラトキャスターは’54年に発表されて以来、基本シェイプはほぼ変わっていません。エレキギターはカントリー系のミュージシャンのより大きな音量を得たいというニーズに答える形で普及したというルーツを持つので恐らくストラトキャスターのデザインはドレットノートから派生(進化)したと私は考えています。そうする事でミュージシャンにも違和感なく受け入れられストラトキャスターが支持を得られたのではないでしょうか。天才レオ・フェンダーはその辺りまで考えて設計したと思えます。
 つまり当時多くのミュージシャンに使われていたドレッドノートタイプ(マーチィン)を演奏するイメージからソリッドギターを設計して、重量バランス等を考慮しデザインされていると思います。エレキギターはロックを生み出し、へヴィーメタル等新たな音楽スタイルが生まれそのスタイルからエレキギター自体も変化しました。

 そのなかでストラトキャスターのダブルカッタウェイで6弦側のホーンが長いというデザインは、スタイル・演奏している時のバランス等現在のエレキギターのスタイルの基礎をなしているもののひとつであると思います。ただ私はストラトのボディは少し大きすぎるのではないかと思っています。

 DG工房では基本的にオリジナルモデルは全てミディアムスケールです。そのため、試作品はスケールに応じてサイズダウンしています。比較的忠実にストラトキャスターのイメージを保ってミディアムスケールサイズに縮小したので、これにロングスケールを組み合わせる事でより現代の音楽スタイルにマッチした製品になったと考えています。

 とりわけホワイト系の膨脹色ではより大きく見えるので写真でサイズの違いが分かりづらいのはそのせいもあるかも知れません。2トーンやブラックでは違和感なくてもオリンピックホワイトに持ち替えると同じボディでもギターが大きく見えます。私は自分がオリンピックホワイトのストラトを演奏していてふとガラスに映った姿をみて愕然としたことがあります。もちろん私のように身体が小さくても、カッコ良く楽器をものにしているミュージシャンの方々も沢山いらっしゃいます。ストラトキャスターは伊達に40年以上ものあいだミュージシャンの支持を得ているわけではないので非常に完成度の高いモデルであるのは言うまでもありません。


 さて話をDG工房製リッチーモデルに戻します。ボディが小さくなった分、本来16フレットなのを17フレットジョイントにしました。(次ページの゛ネックについて゛で画像を確認下さい)プロトタイプと言う事でポケットの長さを稼ぐため、ネックもひさしを付けずに22フレットにしましたが通常のストラトネックでも問題ないようです。欠点と言えばそれによってストラトキャスターとしては演奏性は上がったものの良く見ると指板エンドとボディの辺りに違和感がある事かもしれません。ただ全体的に見てストラトキャスターのイメージを保ちボディを小さくする事は出来たと思います。ボディの大きさの違いが判るように私が所有しているオリンピックホワイトのアメスタと並べてみました。若干角度がついてしまいましたが、横に並んでいるだけです。DG製が少し後ろにあるように見えます。

 もしお持ちのノーマルネックに当工房製ボディを組み合わせてみたいとお考えのお客様もポケット部分を延長して16フレットジョイントのモデルも製作しておりますのでネックを加工すること無しに取り付け可能です。


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