ボディの加工2(コンター加工)
ストラトキャスターのボディの最大の特徴はバックカットとエルボーカットです。コンター加工には年代によって傾向があり、通常は’50年代は大きく’60年代はやや小さくなり、CBS以降は小さいと言えます。深さ(ボディサイドのカットの取れ方)については個体差があるようです。
゜70年代のカットが小さいのは単に量産化の為でなく、流行の音楽スタイルに合わせてボディの質量を増やしよりサスティーンを得るためとも言われています。
またジェフ・ベックは近年アーミングを多用していますが、ライブで観るとフローティングさせてアームバーを使わず掌でビブラートをかけたりアームアップさせたりしています。その為メインギターのエルボーカットは’50年代のモデルのように大きく取られています。
今回製作しているDGストラトキャスタータイプは基本仕様をストラトキャスターの製作年代の仕様に合わせていますので、’56タイプはバックカットは上下に広く、エルボーカットもなだらかに大きく取っています。’61タイプは、バックカットはやや上下に小さくなりエルボーカットもより丸く加工しています。
DGストラトキャスタータイプのコンター加工は、’50年、’60年、’70年の3タイプを用意しています。(右のイメージ参照)’56タイプは’50年タイプ、’61タイプは゜60年タイプでDG工房のコンター加工の標準的な形状です。
フェンダーのものは同時期に生産されたものでも個体差がありそれが逆に魅力になっていると思いますが、ご希望があればサンプルと出来るだけ同じ形状に加工します。カットの形状で同じシェイプのストラトキャスターがかなりイメージが変わります。またジェフ・ベックの例でも判るようにもともと演奏者の体にフィットさせる目的のものなので、演奏性にも影響があります。
実際に製作しているDGストラトキャスタータイプの’50年タイプと’60年タイプのコンター加工をご覧下さい。
左が’56タイプで右が’61タイプです。上下方向のカットの大きさが違います。深さは同じに加工しています。
右下の写真は並べてボディのエンド部からのもので、下が’56タイプです。アングルのせいで、深さが違う様に見えますがこちらも同じ深さにカットしています。’50年タイプはセンターより右側までカットがかかっています。
下の2つは、サイドから見たカットの状態です。左が’56タイプで右が’61タイプです。エルボーカットの大きさの違いが判ると思います。゜61タイプはカットの深さが同じなのでカットが小さくなった分なだらかな’56タイプより丸い感じになります。
カット部分の面をとっていない為ストラトとしてはカットが小さく見えますが、磨いてアールをつけると見慣れたストラトキャスターのサイドになります。
木地を磨く際に境目をなだらかにするので、’60年タイプも光のあたり具合で共にセンターより右側までカットがおよんでいる様にみえます。’70年代タイプだと、完成した状態でも、センターラインより右側には入りません。