ネックの加工 1

 グリップ部分をラフに削ったままの状態で時間を置いてからロッドを仕込みます。シーズニングを終えても木材は加工すると動きますので特にネックは時間を掛けて様子を見ながら作業を進めます。

 ’57タイプは1P(指板を貼らないタイプ)で’61タイプはローズ指板を貼ります。ロッドの仕込み方も異なりますので工程が違います。


〜ロッドの仕込み〜

 本来は両方とも指板エンドからロッド調整するのですが、1Pネックは現行のストラトキャスターのようにヘッド側から調整できる様に仕込みました。

 メイプル材がそのまま指板になるので、グリップ側からロッドを仕込みます。指板のアールは仕込んだ後に加工します。 

 ロッド溝を掘る前に指盤面がまっすぐな事を確認します。ロッド溝を加工した後ヘッド側からロッド溝に合わせてドリルを貫通させます。

 ヘッド側からドリルを入れるので、ここでヘッドの厚みをおおまかに決めます。右の写真では見え辛いですが、ウォルナットのダボに調整用の穴があいています。

 通常はロッドをヘッド側から入れてダボで塞ぎます。そしてエンドからナットを通して仕込むのですが今回はヘッド側から調整するようにするので、ナットを入れてダボに調整用の六角レンチの入る穴をあけます。ネックポケット側にはロッドのエンド部分を収めるスペースを加工します。

 埋め木はウォルナットです。ロッド溝のカーブに合わせて加工して、ロッド溝を塞ぎます。再びこの状態で時間を置きます。

 ’61タイプも同様に指盤面を確認してからロッド溝を掘ります。

 こちらは通常と同じネックエンドからロッドを調整するタイプですが、弦を張ったまま調整できるようにミュージックマン等と同じタイプのナットを使います。

 1Pネックと同様にロッド溝を掘った後こちらはストラトキャスターと同様にエンド側からドリルでロッド溝に通します。

 ロッドを仕込んでメイプルの埋め木でロッド溝を塞ぎます。こちらはこの状態で時間を置いてから再び指盤の貼り面をまっすぐにして指板材を貼ります。

 完成した指板を貼る方法もありますが、今回は貼ってからアールとフレット溝の加工をします。 


〜指板の加工〜

1Pネックの指板面はまだフラットです

 指板のアールを加工して、フレット溝を切ります。指板のアールは現行のストラトキャスターと同様に約240Rにしました。

 フレット溝は市販の治具を使いのこぎりで切りました。ちなみに工場等ではフレット数分丸のこがついた機械を使い一度に切ります。

 写真はロッドを仕込んだ後の1Pネックと指板を加工した状態のローズ指板ネックです。ローズ指板のネックも指板を貼リ終えた状態でヘッドの厚みをおおまかに決めます。

 フレット溝を切ると随分ネックらしくなった感じです。この状態で再び時間を置いて安定させます。


 もう一度、指板の状態を確認しながら指板を磨きます。ここでポジションマークを入れます。’57タイプは黒のプラスチックの6パイドット、’61タイプはパールで同じく6パイドットです。

 ミディアムスケールなのでストラトキャスターより小さめです。入れた後に指板面から飛び出しているドットを削りさらに細かいペーパーで磨きます。サイドポジションもここで入れます。

 ヘッドの厚みもほぼ決まっているのでペグ穴をあけます。いつあけてもいいのですが、ポジションを入れるときにボール盤を使うのでここであける事にしています。

 下の写真は指板の加工が終わった’57タイプと’61タイプです。1P指板が光っていますが、今回はこの状態で指板だけ塗装してしまいます。(’57タイプのペグ穴をあけ忘れています...)こうすると仕上げが楽ですし、フレットを打った後に仕上げるより美しく出来ます。

フレットを打つ前まで加工を終えた状態です