ネックの加工 2
指板を仕上げたらフレットを打ちます。どちらもノーマル(細)フレットにしました。当工房で使用しているノーマルフレットは、通常より少し高さのあるものです。
DG工房では、ノーマルフレット(いわゆるフェンダータイプ)とジャンボフレット(やや幅のあるギブソン系)のいずれかから選択できます。どちらも、やや高さのあるものを仕様しています。ジムダンロップ等のフレットの指定は別途見積りが必要です。
フレットを打った後グリップ部分を仕上げます。ポケット部分の厚みを決めて、ヘッドとヒール付近を整えて仕上げのサイズ・形状にします。
〜フレット打ち・木地磨き〜
フレットを打ち終えた状態です
フレットを全て打った後、もう一度指板の状態を確認します。前のページで書き忘れたのですが、’61年のポジションは本来はクレイドットです。
指盤面は少しロッドを締めた状態でほぼまっすぐになるのがベストです。握り同様にナット幅とポケットの幅も若干大きめにとっていますので、指板サイドの面を取る前にサイズを決めます。
握り部分の指板サイド付近やヘッド、ヒール近くはラフに削った状態なのでグリップの厚みを仕上げの数値にして全体の形を整えます。ジョイント部分やヘッドの厚みもここで決めます。
指板サイド(フレット)の面はあまり大きく取ると弦落ちしてしまいます。また小さいとフレットサイドが引っかかる感じになってしまいます。
DG工房では角度を立てて大きめに取っています。さらにフレットサイドの面を丸くする事により弦落ちせず引っかかりのないように仕上げています。
グリップ形状は、ネックの製作前に決めておく必要があります。特に厚みはロッドの仕込みの関係上あまり変える事は出来ません。
ちなみにリペア等で完成したネックのグリップを削ったりする場合もネックのバランスが変わりますので注意が必要です。エレキギターのライトゲージでは普通にチューニングした状態で30kg以上の張力がかかっています。最悪の場合ロッドがグリップから出たり、修正できないくらいに反ったりします。
右の1Pはフレットを打った直後の状態で左は最後の手磨き前のほぼ加工を終えた状態です。この後握り部分の形を整えながら磨き上げます。磨き終えたネックは最後にもう一度サイズやキズを確認して、ナットを取り付けます。
ネックの工程の紹介のページは2ページだけですが、ボディ以上に手間と時間をかけて製作しています。ネックは工程も多いですが、シーズニングを終えた材でも湿度や加工により状態が変化しますので工程毎に時間を置き様子を見て修正しながら製作を進めます。グリップ部分は材を大きく削るので特に注意が必要です。
木工工程を終えた2本のグリップ側 サイドから見たグリップの様子
以上で木工工程は終了です。