§ L/H のSTS §
掲示板でblueaddさんから左用のSTSの存在を教えていただきました。さらに画像をご提供いただきましたのでご紹介します。通常のSTSブラックボディのローズ指板と並べられているのは、先のジミヘン仕様のSTSとほぼ同じ仕様のSTSです。ジミヘン仕様のものと外見で違うのはロゴの向き等が明らかに左用であることくらいです。
§ ネック §
ロゴは左用でジミヘン仕様にあったヘッド裏のロゴがありません。
ネックはメイプル1Pで基本的なSTM、STSと全く同じ仕様のようです。ナットはblueaddがブラスに交換されたとの事ですのでオリジナルは牛骨だと思われます。ペグは当然逆向きですがGOTOH製の同型のものです。サイド側からの画像はなかったのですが、ロゴの向きから考えると左用にサイドドットが打たれていると思います。ロッドの仕込みもダボ風の筒状の物の中に5mmの六角レンチで調整するナットが仕込まれているようです。
ヘッドのロゴは先にご紹介したジミヘンモデル同様にフェンダーのカレントタイプのみですが、リバースヘッドではなく左用の向きです。ジミヘンモデルにあった限定生産を示すカスタムエディションのデカールはありませんので、通常のラインである程度の数量で生産されたものと思われます。
§ ボディ §
ボディ、パーツはジミヘンモデルと共通のようです。
ボディは通常のSTSと全く同じ仕様で左用に裏返したものになっています。独特の形状に縮小されたシェイプに2スタッドトレモロがアップリセスザグリを施されて取り付けられていて、トレモロ裏パネルは落とし込まれて取り付けられています。ラウンドカットヒールも通常のSTSと同じに加工されています。
パーツは先のジミヘン仕様と同様のようです。トレモロユニットも2スタッドの10.5mmピッチの左用でブロックもブラス製のやや大きくて重量のあるタイプのようです。blueaddのご指摘の通り左用ですのでエンドピンは右用同様に6弦側の長いホーンに取り付けられています。ジョイントプレートは通常のものを裏返して使用したのではなく同型のものを裏返して製作したのだと思います。詳細はジミヘン仕様に記載していますが多分同じパーツです。
ネックポケットの記載が見られないのが残念ですが、ネックでも述べましたように多分通常の品番が記載されているのみでORDERの文字は無いと思われます。ボディ材も通常のものと同じ(’94年のカタログではポプラ)材が使われていると思います。
発売時期等は掲示板で地味頁さんが“最後のカタログ掲載(ボディは白黒のみ・定価65000円・数量限定生産)のあった頃”とおっしゃられていますが、私の持っているSTSの掲載されている最新のカタログは’94年でレッドもありますので’95年位でしょうか。blueaddさんの購入店と色も異なるのでフェンダージャパンが企画して楽器店に卸したもののようです。’94年のカタログでは左用は12,000円プラスでしたので、こちらは“STS−77L”だったのでしょうか。
ジミヘンモデルかあるいは’95年位がSTMシリーズが販売されていた最終年になるかと思います。のちに販売されST−CHAMP10にはアンプ付きミニギターにもかかわらず贅沢にもDSモデルに搭載されていた10mmピッチの2スタッドトレモロが搭載されていますが、生産を打ち切った後に残ったパーツを使い切る為に企画されたのもかもしれません。エンドロックス付きの10.5mmピッチ2スタッドトレモロはある意味特殊なパーツなので左用のSTSもそんな感じで製作されたのかもしれません。
パーツの製作は一つだけでは高価になってしまうのである程度の数量を製作するのが普通だと思われますが、左用のトレモロやジョイントプレート等はSTMシリーズの生産終了後に不動在庫にならないように企画制作された可能性がある様に思います。また90年代の前半のフェンダージャパンのラインアップはかなり充実していたのですが、STMシリーズの左用の製作はどうだったのでしょうか。
最後に情報ならびに画像をご提供いただきましたblueaddさん、情報提供いただきました地味頁さんに感謝します。例によりまして、記載に誤り等ありましたらご指摘ください。また、新たな情報等ありましたらRoom314談話室(掲示板)やメールでお知らせいただければ幸いです。
2006 10.11
掲示板でゲネシスさんにオークションに出品している左用のSTMを教えていただきました。そちらによるとLシリアルでSTM−70LEFTYとの事です。’92年のカタログで同等モデルをみるとSTM−58Gでしたので通常のモデルと同じく価格は12,000円プラスだったようです。
2006 10.30