§  ショップオーダーのSTS §

 

 

 

 左用のSTSに続きましてblueaddさんが所有されるレアなSTSの画像を送ってくださいましたのでご紹介します。上の画像をご覧いただければSTSの仕様をご存知の方には違いは一目瞭然と言う感じでしょうか。お送りいただいた画像から、気が付いた点をご紹介しようと思います。

 

 

〜  ボディ  〜

 

 

  ボディカラーは3トーン・サンバーストでしょうか。通常のラインにはシースルーモデルはありませんが、このモデルのボディ材は木目の感じからアルダー材のようです。ピックアップの配列は、SSHですが、基本仕様は3シングルのみでザグリも同様ですので、多分リア部分のみハムバッカーザグリに変更されているのではと思います。

 その他の仕様は通常のSTSボディと同じで10.5mmピッチのエンドロックス搭載のトレモロはリセスザグリに収まっていて、トレモロ裏パネルも落とし込まれて取り付けられています。ピックアップは恐らく通常のラインのものと同じで、HOTROD−5S×2とDRAGSTAR−8(7)HのPro−Feel シリーズのものだと思います。

 それ以外の仕様は通常のSTSと変わらないように思えます。ジョイントも通常のモデルと同様にラウンドカットヒールです。ピックガードは3Pのホワイトで変則の8点止めです。変則と言いますのは、8点止めは通常1Pピックガードのヴィンテージ仕様ですがその位置にはなっておらず、STSシリーズの場合は3Pのうえに、位置が11点止めから3つ減らしたところにあります。

 リアはハムバッカーに変更されている他、コントロールが1Vol 2Toneになっています。レバースイッチもVMの5Wayだと思われます。ボディの形状からコントロール部分も狭くなっていますが、スケール分の縮小なので3つのポットが窮屈になるほどではありません。

 実用的にはSTSの1Vol 1Toneで、ヴォリュームがリアピックアップからやや離れた位置にあるコントロールは使いやすいと思われますが、通常のストラトキャスターに慣れた方やの見た目を好まれる方には魅力的な配列で、参考になるのではないでしょうか。

 左の画像を見るとパーツの大きさは通常のモデルと同じなので、舟形ジャックをみるとボディが小型化されているのが良く分かると思います。カッタウエィの内側がボディ全体に比べて大きくなっているために中央部分のクビレが狭くみえてホーン部分がバランス的に大きく見えるSTS独特のボディ形状ですが、このモデル特有のものではなくSTSシリーズの特徴です。

 

 

リアハムと1Vol 2Toneはオリジナルです。 通常と同じ裏パネ部分ですが、シースルーだと雰囲気がちがいます。

 

 

〜  ネック  〜

 

 

 

 

 

 STMやSTSのショップオーダーの場合はネックの仕様は殆ど通常のラインのものと同じですが、このモデルは幾つかの特徴があります。まず目に付くのがロゴがヴィンテージタイプの“スパロゴ”である事です。blueaddさんの掲示板への書き込みによるとカワイ楽器のショップオーダーのものと言う事でしたが、以前ボディ単体製作のご依頼をいただいたカスタムカラーのSTMも同ショップのものでやはり同じロゴでした。その他ジョイント近くにシリアル等があるのは通常のものと同じで、それを見ると91〜92年製造のモデルです。

 STS(M)シリーズは通常ネックの塗装は艶ありナチュラルで着色はされていないのですが、このモデルはイエローに着色されているようです。ネック自体の仕様はラインのものと同じようで、ポジションマークも指板とネック材の境い目ではなくローズ部分に入れられている様に見えます。ポジションマークもアクリルの5パイのようです。ロッドもヘッド側からダボ風の部分から5mmの六角レンチで調整するタイプです。

 一番の特徴はペグが通常のゴトー製のシャーラータイプではなく、クルーソンタイプが取り付けられていることだと思います。エンドロックスにクルーソンタイプのペグの組み合わせは不思議な感じもしますが、通常のシンクロとしても使えるトレモロユニットなので問題ありません。

 ネックをみると、STSの基本仕様はそのままに、スパロゴにイエローナチュラル仕上げで、クルーソンタイプのペグを組み合わせて、ヴィンテージタイプを意図して企画されたように思います。

 

イエローナチュラルプラス“スパロゴ”です。 スリムなグリップ等が分かると思います。

 

 


 

 blueaddさんに所有しているSTSの画像を提供していただきましたので、それを元に記事にしました。画像と手元の資料から推測を含みますので誤記等ありましたらご指摘いただければと思います。

 画像のSTSの印象は、ストラトキャスターのヴィンテージの仕様を目指したもののように思われます。更に拘るのであれば、ピックガードの固定ビスを3個追加すれば完璧だったでしょうか。ネックはこのシリーズの特徴的なスカンクラインがありヘッド側からロッドを調整するタイプのままですから、ヴィンテージルックと言う意味ではバランスが取れているのかもしれません。

 それにしてはリアのハムバッカーは疑問ですが、当時ストラトのリアをハムバッカーに変更する改造が流行っていたのでしょうか。何れにしましても、ノーマルストラトに近い仕様というのはSTSを持っているストラト好きにとっては非常に魅力的な仕様であることは間違いないと思います。

 オークションで存在が確認できたSTMの左用等々、カタログに記載されている以外にも沢山のレアな仕様のモデルが存在しているようです。他にもユニークなSTMやSTSがあるようでした情報をお待ちしております。

 

2006 10.30

 

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